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人工知能が仕掛けるチェス以来の大挑戦~コンピューターはクイズ番組で人間に勝利できるか?

私の研究している質問応答(Question Answering)という分野は、ひとことで言うと検索技術の応用で、入力された質問に対して、関連文書ではなく、ダイレクトな答えを自動的に見つけるような研究です。

検索の世界ではグーグルやヤフーのように誰でも知っている「成功」しているシステムがありますが、質問応答は実用的なレベルを実現するのが難しい非常にチャレンジングなタスクのため、一般の人にも知られるような有名なシステムはまだまだ出てこないと思われていました・・・・・昨日IBMがこんなプレスリリースを出すまでは。

IBM、米国の人気クイズ番組「ジョパディ!」にチャレンジするコンピューターを開発中

IBM(本社:米国ニューヨーク州アーモンク、会長:サミュエル・J・パルミサーノ、NYSE:IBM)は本日、米国の人気クイズ番組「Jeopardy!(ジョパディ!)」で人間と競い合える先端コンピューター・システムの詳細を発表しました。また、「ジョパディ!」の関係者は、人間とコンピューターが対抗する番組の製作計画について発表しました。

IBM の研究者は、Watson(ワトソン)というコードネームで呼ばれている最新鋭の質問応答(QA)システム開発に2年近く取り組んできました。このコンピューター・システムは、「ジョパディ!」で複雑な質問を理解し、十分な正確さとスピードで回答できると考えています。

ソニー・ピクチャーズテレビジョンが製作し、CBSテレビジョン・ディストリビューションが配給する「ジョパディ!」は、歴史、文学、政治、映画、ポップカルチャー、科学など幅広いトピックをカバーする、知識と素早い想起が要求されるゲームです。バラエティー豊かなトピック、クイズ番組の回答者に要求される正確な即答、そしてクイズ番組の出場者に与えられるヒントに含まれる巧妙な意味、皮肉、謎やその他の複雑な要素の分析を人間よりもこの種の処理が苦手なコンピューターが行わなくてはならないなど、このゲームはコンピューター・システムに壮大なチャレンジをもたらします。ワトソンは超並列解析能力を備えており、クイズ番組に出場する人間同様、インターネットへは接続されず、また外部からの支援も受けません。

質問応答の研究を始めた頃は、まさかこんな形のアプリケーションが人間と対戦するようになるとは思ってもみませんでした。選択肢のあるクイズに答える研究なら、TOEFLの類義語問題を解くTurney の "Mining the Web for synonyms: PMI-IR versus LSA on TOEFL"やクイズ$ミリオネアの問題を解く外池らの「4択クイズを連想問題として解く」などがありますが、質問応答のタスクは選択肢がないので、はるかに難しいです。

人間との対戦というと、CMU の OB が中心になって IBM で開発したディープ・ブルーが人間のチェスチャンピオンに勝利したのを思い出しますが、今回のシステムはずっと「賢い」です。

1997年当時、人間とコンピューターの対戦として有名になったチェスの対局で、Deep Blue(ディープ・ブルー)と呼ばれるIBMのコンピューターがチェス世界チャンピオンのガルリ・カスパロフ氏に勝利しました。IBMは、固定的な問題に対して1秒間に2億手を計算できる非常に高速なコンピューターを開発しました。一方、IBMのワトソンは、主にダイナミックでインテリジェントなソフトウェアを使い、全く新しいアプローチで制約のない問題を解くことにより、人間にさらに近づいた形で対戦しようとしています。今日のコンピューターは、大量情報処理能力があるにもかかわらず、文を整合的に分析・理解したり、まして人間の脳のように曖昧なヒントを理解して正解を見つけたりすることはできません。

チェスから10年ちょっとでこの進歩。この時代を生きていられて非常に運がいい気がします。

2008年、IBMとカーネギーメロン大学は他の大学と一緒に 先駆的なOpen Advancement of Question Answering (OAQA)イニシアチブを立ち上げました。OAQAは、自動質問応答に関する共同研究を加速させるための構造的、方法論的な基礎を提供することを目指しています。IBMは、さまざまな個別に開発されたアルゴリズムを統合、汎用化できるかを実証するために、ワトソンの開発や挑戦課題について大学に協働を呼びかける予定です。

IBMのワトソン開発チームのリーダーを務めるデービッド・フェルーチ博士は、次のように語っています。「自然言語の質問に対する的確な答えを判断し、回答について正確な信頼性を計算するという人間の能力に対抗できる今までにないシステムを開発するというチャレンジです。この信頼性を処理する能力が鍵となります。IBMのアプローチは、従来の検索とは大きく異なり、また有用な質問応答のビジネス・アプリケーションの実現に欠かせません。ワトソンを構築する基礎的な質問応答技術の進展は、いままでコンピューターには手の届かないものだった人間との言語関連作業の協業が行えるインテリジェントなコンピューティング・システムの理解、開発を目指していく上で重要です」

CMU と IBM は質問応答に関する共同研究をしていて、ワトソンの一部には友人のモジュールも含まれているそうです。私も Javelin プロジェクトというCMUの質問応答プロジェクトとは別に、IBM との質問応答の共同研究に参加しているのですが、ワトソンには直接は関わっていません。ですが、同じ研究分野なので、今日の IBM との電話会議はこの話題で持ちきりでした。ニューヨークタイムズにはこの件に関してJavelin のPI でワトソンのアーキテクチャにも関わっているエリック・ナイバーグ教授のコメントが載っています。

人間とのクイズ対決はどうなるのか、結果が非常に楽しみです。

参考:

IBMプレスリリース: IBM、「ジョパディ!」に挑戦するコンピューターを開発中
http://www-06.ibm.com/jp/press/2009/04/2801.html

Youtube: IBM "Watson" System to Challenge Humans at Jeopardy!
http://www.youtube.com/watch?v=3e22ufcqfTs

IBM Research: Jeopardy! Challenge, Deep QA Project
http://www.research.ibm.com/deepqa/index.shtml

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コメント

おお、これはすごい!研究内容とその適用分野の結び付けがほんとにおもしろいと思う。

でも回答の際にインターネットに接続できないとすると、問題文をある精度で解析できたとしてワトソンはどこから答えを探してくるんだろ??人間みたいにあらかじめ一定量の知識が組み込まれてるの?

internal storageって書いてあった^^
組み込んでるみたいだね。

そうそう、internal storageの部分は企業秘密だと思うんだけど、枠組みの部分はIBMとCMUが主体になってオープン化をすすめてるよ。

http://www.research.ibm.com/deepqa/question_answering.shtml

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