大学生にとって、学業や就活と同じくらい大切なメンタルケア。
精神面が不安定になると、勉強でもバイトでも、あらゆる面で支障が出始めます。
「もう限界かも…」と思ったときに頭をよぎるのが、休学という選択肢。
学生という身分から一旦離れて、何も考えずに体と心をゆっくりと休ませる時間を確保できる一方で、卒業時期が遅れてしまったり、かえって調子が悪くなるというリスクもあります。
最終的に休学したことが良い結果をもたらすのか、むしろ状況を悪化させてしまうのかはケースバイケースです。
そこで今回は、実際に休学を経験したことがある10人にアンケートを実施して「休学中に大変だったこと」「休学をして良かったと思うこと」について答えていただきました。
「大学休学中に大変だったことは?」10人の回答結果
クラウドワークスにて「精神的な理由で大学を休学したことがある人」を募集し、集まった国公立大学、私立大学、専門学校の休学経験者10人へアンケートを実施。
ちなみに、第一弾である「休学を決意したきっかけ・理由」についてのアンケート結果はこちらの記事で紹介しています。
なお、ここでは留学やインターンシップなど、キャリア形成を目的とした休学の経験はアンケートの対象外としています。
精神的な理由による、心身の健康を回復するための休学に限定しておりますのでご了承ください。
Q1.休学中に大変だったことは?
主な回答は以下の通りです。
- 体調が悪い中での定期的な通院
- 時間が余ってネガティブなことを考えてしまう
- 金銭面で家族に迷惑をかけてしまう
- 外出時に知り合いと合わないようにすること
- 友達がいなくなったこと
- 周囲との差に焦りや不安を感じたこと
一つひとつ、具体的に見ていきましょう。
体調が悪い中での定期的な通院
休学した原因が病気だったので、体調が悪化しているときは何もできず、毎日当たり前のようにできていた生活(食事、入浴、洗顔、片付け、外出など)すらも全くできなくなってしまって、とても辛くしんどかったです。そんな状態の中で1週間に1度の通院もかなりきつかったです。
精神的なものから由来した体調不良は調子に波があるので、在学中はもちろん休学中もしんどいです。
私も摂食障害でカウンセリングに通っていましたが、月2回でもけっこう大変でした。
当然勉強や通学なんてできる状態ではないので仕方がないのですが、やっぱり辛いですよね。
時間が余ってネガティブなことを考えてしまう
個人的にとても共感度が高かったのが「時間がありすぎて逆につらい」という意見。
半年くらい休学していたので、暇になる時間が多かったことです。最初は好きなゲームをしていたのですが、途中から飽きてしまい何もしないで部屋で寝ていることが多かったです。
部屋の中にばかりいると症状がさらに悪化するケースもあるみたいなので、新しい趣味を見つけるのが結構大変でした。
休学して最初の頃は時間が余り、非常に暇な時間を過ごしていました。
パチンコ、スロット、漫画喫茶に行ったり無理矢理一日を過ごしていたような気がして、気持ち的にマイナスになっておりました。
周りの友人は大学、専門学校、就職している子が多く、1人で居る時間が多かったと思います。
親から特に怒られる事はなかったですが、圧力を感じました。
引きこもっていたり、考える時間がありすぎるとかえって体と心に悪かったりします。
自分に負担をかけない程度に何かしらのタスクを作って、思考をシンプルなことで埋める必要があります。
「時間があればあるほど良い訳ではない」という…バランスが難しいところです。
金銭面で家族に迷惑をかけてしまう
休学をためらう大きな理由として挙げられやすい金銭面での不安。
実際に休学を経験した人たちからも、学費・生活費の面で負担があったという意見がありました。
休学期間は働いてもいなければ学校にも通っていない状態だったので、ずっと実家にいて、両親に養ってもらっていることに申し訳なさを感じていました。そのため、自分の生活費は家に入れようと思い、アルバイトをたくさんしていました。生活費の分をアルバイトで稼ぐのは大変でした。
実家に戻らせてもらいましたが、それでもお金はかかってしまいます。ただ、バイトをするような体調ではとてもなかったので、金銭面に関してはかなり親に負担をかけてしまっていたと思います。また、引きこもりがちだったためか、貧血にもなってしまい毎日体調が悪かったです。
一人暮らしでも実家でも、多かれ少なかれ両親や自分に金銭的な負担は生じます。
休学中もバイトを続けられるのかが大きなポイントです。
外出時に知り合いと合わないようにすること
休学中は今まで交わっていた人との接点をなるべく排除していたので、どこかに出かけるにしても近所の知り合いに会わないようにコソコソ過ごしていたのが大変でした。
基本は薄暗くなってから外への活動を行っていたのですが、たまに友人に会ってしまった時は、挨拶だけ軽くして逃げるように立ち去っているような生活は面倒でした。
キャンパスの近隣や学生街に住んでいる場合、ちょっとコンビニに行くだけでも知り合いに遭遇する可能性はあります。
その人との間にトラブルがあっても無くても、休学中にばったり顔を合わせるのはちょっと気まずいですよね…
どうしても気になる場合は、休学中だけ実家に帰ったり、通うお店を変えるのも一つの手です。
友達がいなくなったこと
前期でがんばって作った友人たちと疎遠になり、大学内での友達がいなくなりました。
最初はメールをくれたりしたんですが、休学が本決まりになって連絡したらだんだんとメールもなくなりました。
そこまで、すごく仲が良いというわけでもなかったので、こちらからメールや電話するのもなんとなく気が引けて、自然と交流はなくなりました。
これもめちゃくちゃ分かります…
最初は誰かしら心配してくれても、2~3週間もすればみんなに忘れ去られます。
休学中も変わらず接してくれる友達が居れば理想的ですが、復学時には人間関係がリセットされているくらいのつもりでいておきましょう。
周囲との差に焦りや不安を感じたこと
一番多かった意見が「自分が休んでいる間に周りがどんどん前に進んでいること」でした。
高校の時の同級生と会う時、私が休学していることを友達に伝えてから、友達は大学関係の話を控えるようになりました。
「みんな大学で楽しそうにしたり、勉強を頑張っていたりしているのに私は何をしているんだろう…大学せっかく入れたのに卒業できるかわからない」と悩んでいる日が続いて、鬱々とした気持ちになる時もありました。
精神的に不安定なことも多く、大変だったと思います。
同級生が就職先を見つけ卒業試験を受けたという話を聞いた時に、自分だけ置いて行かれたような気持ちになった。
就職や卒業が決まった同級生に対して、祝福の気持ちはあったが相手も気を使うだろうとお祝いのLINEが出来ないなど、同級生との間に気まずさも感じた。
また、休学終了の期間が近づくと不安感が強くなり、不安定になる事もあり大変だった。
「私が休んでいる間に友達は皆勉強してる、将来のことを考えている、前に進んでいるのに、私だけず~っと布団にくるまって泣いている。こんな人生はどうなんだ?生きている意味はあるのか?親に迷惑をかけてばかりで申し訳ない。」
そんな考えても無駄なことをひたすら考えて、自分の将来が不安で泣いてばかりでした。
休学期間中は良い意味でも悪い意味でも、たくさんの考える時間があります。なので、無駄に辛いことを考えすぎてしまうというのが1番辛かったし、大変でした。
心が弱っていると、どうしても自分と周りを比べて落ち込んでしまいます。
「みんな楽しそうにしているのに、どうして自分は家で引きこもっているんだろう」
「あの時こうしていれば」
「もし休学していなければ」
休学中は、そんな思考に幾度となく苛まれます。
おそらくこれは休学を経験した人全員が通る道ではないでしょうか。
もっと言えば、この思考を乗り超えられるか否かが、後々の復学に大きく関わってくると思います。
「大学休学をして良かったと思うことは?」回答結果
最初に「大変だったこと」を紹介したので、休学にネガティブなイメージがついてしまったかもしれませんが、本当にお伝えしたい体験談はここからです。
「休学をして良かった」と思った具体的な内容について教えてもらいました。
得られた回答は以下の通りです。
Q2.休学をして良かったと思うことは?
- ゆっくりと体を休められた
- 自分のことや将来を考え直す時間をとれた
- 好きな勉強や新しい趣味がみつかった
- 家族や友達と交流するようになった
それぞれ具体的に見ていきましょう。
ゆっくりと体を休められた
授業のこと、将来のこと、面倒な人間関係など、いつも自分を苦しませてきた悩みから逃れられたおかげで、少しだけ眠れるようになりました。それが本当に1番良かったことだと思います。
「考えるべきことはたくさんあるし、やるべきこともあるのはわかっているけどそれでも今は休もう、何も考えずにぼ~っとしよう!だってどうせ大学を休んでいるのだから!」と良い意味で開き直れたことで、少し眠ったり、ご飯を食べられるようになりました。
良い意味でタスクを放棄できた、吹っ切れたという意見ですね。
休学という文字通り、一旦学生を休んでいるわけですから、この際ゆっくり体を休めるのがベストと言えます。
自分のことや将来を考え直す時間をとれた
一番多かったのが「今後の人生についてゆっくりと考え直せた」という声でした。
時間ができたことで、自分を客観的に見直す時間が増えました。
考える時間を作れたことで、大学に合格するために頑張っていたけど、本当に自分がやりたいことをやっていなかったということに気がつきました。
そして、体調が良い時に家で料理をやり始めました。
最初は不器用で包丁で切ることも手こずっていましたが、今では煮物やスープなど、凝った料理ができるようになったので、休学したことは無駄じゃなかったんだなと思いました。
休学してからは、アルバイトをし沢山の人達と繋がりを持てました。周りは老若男女で色々な人生経験の話を聞け、自分がこれから何をすべきかやりたい事を見つける事が出来ました。
父親にも休学中に、自分が真剣にやりたい事があるなら、そっちに力を入れろと後押ししてもらえました。
中途半端な思いで通学するより休学して正解だったと思います。
1人で過ごすことが多くなり、1人での行動範囲が広がり海外旅行をすることにしました。
往復の航空券だけ購入して、ホテルも食事も現地でその時の気分で選ぶバックパッカーのようなスタイルだったのですが、人に頼ることなく自分で決める、という精神的な強さや海外文化に刺激を受けて将来を考えなおすきっかけになりました。
心がしんどいまま大学生活を続けても、将来について明確なプランを立てる余裕はなかなか生まれません。
自分が本当にやりたいことを考え直したり、旅行に出かけられるのも、時間をたっぷりと取れる休学ならではのメリットですよね。
好きな勉強や新しい趣味がみつかった
「自分が本当に好きなものを見つけられた」という意見もかなり多かったです。
最初は実家の自分の部屋に引きこもってばかりでしたが、だんだんと気持ちが落ち着いてきてからは、大学や就職のことは考えずに、自分が好きなことだけをやる時間を作るようになりました。
そこでカメラに出会い、新しい趣味が見つかりました。
趣味つながりでInstagramをきっかけに友人もでき、だんだんと人とのコミュニケーションが図れるようになりました。
簿記の資格を前から聞いたことがあり、挑戦してみようと思い休学中に簿記の資格を取得することに決めたのです。
始めのうちは勉強が難しく思い通りに行かなくてイライラすることも多かったですが、勉強をしているうちに楽しいと思えることが多く、大学での嫌なことを思い出す時間が少なくなっていました。簿記の勉強を始めて2カ月後には無事簿記の資格を取得することができたので、嬉しかったです。
休学中に他の勉強をする余裕ができ、自分の好きな簿記の勉強と出会えて良かったと思います。
休学期間中は専門学校の勉強が全く手に付かなかったが、何もしないのは嫌だったため、社会勉強の為にも派遣会社に登録し、単発アルバイトを行いながら生活した。
また、以前からやってみたかった楽器のドラムを始めて、新たな趣味を始めた。
このように専門学校から離れた生活をしていく事で、実習の時に受けた心の傷や喪失感は徐々に和らいだ為、休学して良かった。
時間と心に余裕が生まれることで、ずっとやってみたかったことに時間を使えたり、新しいことにチャレンジするきっかけができます。
自分が「楽しい」と思えることが見つかると、心に積もった傷やストレスもだんだん和らいできますね。
家族や友達と交流するようになった
今後についてゆっくり考える時間が取れたことが良かったです。
休学中はほとんど勉強をすることはなく、心療内科で治療を受けたり、家族や友人と相談することに時間を使いました。周りの人たちに支えられたことで、何とか乗り切ることができました。一人で問題を抱えていたら、もっと症状が重くなっていたはずです。
家族と本気で話す機会がそれまでなかったので、お互いにとって良い時間でした。
休学中は大学の学部以外の友人と沢山遊びました。
中学校や高校時代の友達や、アルバイト先で出会った友達など、学部内以外の友人と過ごす時間を増やしたことで、自分のことを親身になって考えてくれ、味方になってくれる人がいることを実感することができ、ネガティブだった気持ちがだんだんすっきりしてきました。
そして復学しようと決心できました。
一番良かったことは心が軽くなったことです。よくわからない焦りみたいなものが無くなり、視界がクリアになりました。
休学するまではこの世の終わりみたいな気分でつらかったので。
あとは家族ともよくコミュニケーションをとるようになったことです。
電話でこれから休学したいという話をしたのですが一度帰って話をしようということになり実家に帰りました。
あまり両親と会話する方ではないので。このことがきっかけで会話をよくするようになり、思っていることも伝えられるようになれました。
休学をきっかけに、家族や友人という味方の存在を再確認できた人もいるようです。
学費が絡む都合上、休学をするには家族との話し合いが必須ですし、自分一人だけで辛い時期を乗り超えるのも中々難しいので、これを機に人との絆が深まるかもしれません。
「自分は一人じゃない」と思えることで、復学後も心の支えになりますね。
まとめ
以上、大学を休学して良かったこと・大変だったことの体験談を紹介しました。
休学という選択をしたことで多くの学生が新しい価値観を得たり、ゆっくりと体を休めて次のステップに繋げられたことが分かりましたね。
しかし一方で、周囲との差が生まれることや家族への罪悪感、プレッシャーなどに苦しむ人も見られました。
メリットだけを享受できるわけでは無いということは、休学前に覚えておきたいですね。
しかし私自身、休学が人生を変えるキッカケとなったことは間違いありませんし、学びの形は一つではないです。
ここまで読んでくださった皆様が、ご自身にとって少しでも良い選択ができるよう祈っています。
ちなみに、今回ご紹介した10名の「休学を決意したきっかけ・理由」についてはこちらの記事で紹介しています。
よろしければ併せてご参考ください。
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