「過食が止められなくて悩んでいる」
「摂食障害への理解を深めたい」
そう考えて、摂食障害に関する書籍を探すこともありますよね。
本はネットよりも知識も基づく正確な情報が多いので特におすすめのツールです。
また小説を読むことで、疲弊した心を癒す効果もあります。
そこでこの記事では、読書好きかつ過食症経験者の私が、摂食障害に悩む人へおすすめの書籍を8つご紹介。
当事者はもちろん、ご家族やご友人も手に取りやすい本がそろっていますので、参考になれば幸いです。
摂食障害に悩む人におすすめの本
まずは摂食障害をテーマとして取り扱っている書籍を3冊ご紹介します。
どれも過食症や拒食症を知識的に把握したり、体験談の紹介が主な内容です。
- 摂食障害について勉強したい
- 克服までのアプローチ方法や体験談を知りたい
- 身近な人が摂食障害で、どんな病気なのか具体的に知りたい
そんな人におすすめのラインナップとなっています。
拒食症・過食症を対人関係療法で治す
最初にご紹介するのは、精神科医水島広子先生の『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』です。
認知行動療法だけでなく、タイトルにもある「摂食障害と人間関係」というテーマについて掘り下げられています。
私が特に印象に残っているのは、摂食障害を治すとは「元に戻こと」ではなく「元よりも良くすること」であるという一節。
完璧を求めず、自分にやさしくなるために、性格や認知を捉えなおすのが本書の特徴です。
私自身この本は、通っている摂食障害専門のカウンセリングの先生に紹介して頂きました。
水島広子先生は精神的疾患に関する著書を数多く出版されており、豊富な知識をお持ちですので、とても信頼できる先生です。
摂食障害の当事者はもちろん、身近な友人や家族の方にもぜひ目を通していただきたい1冊と言えます。
過食症:食べても食べても食べたくて
続いて紹介するは『過食症:食べても食べても食べたくて』(星和書店)です。
こちらは9年にわたる過食症を克服したアメリカのリンジー・ホールさんの体験記を、精神病棟看護師の安田真佐枝さんが翻訳した本です。
摂食障害の中でも、過食症や過食嘔吐がフォーカスされています。
この本の一番のポイントは、やはり過食症のつらさが当事者の言葉で語られており、細部までとにかく共感できる点です。
過食の描写や食べ物への複雑な感情にリアリティがあり、誰にも相談できない摂食障害をめぐる葛藤を代弁してくれています。
また、当事者が経験則から無理なく取り組みやすい実践法を紹介してくれるのも特徴です。
読書に慣れていないと抵抗があるかもしれませんが、内容はとても親しみのある文章で読みやすいです。
図書館等でも取り扱いが多い本ですので、過食に悩んでいる人はぜひチェックしてみてください。
ぜんぶ体型のせいにするのをやめてみた。
3冊目は『ぜんぶ体型のせいにするのをやめてみた』(大和書房)です。
著者である竹井夢子さんが過度なダイエット依存に陥った、ご自身の経験を綴られています。
イチオシポイントは、10代~20代の女性がダイエット沼にハマる過程や感情がものすごくリアルで共感できるところ。
SNSでの発信活動を通してコンプレックスが深まっていくところも非常に現代的です。
体型について誰もが1度は感じたことがある感情が、ありありと表現されています。
コミックエッセイ形式で体験が綴られているので、本を読むのが苦手な人でも読みやすいのも特徴です。
摂食障害に疲れた人へおすすめの小説
次は小説部門でおすすめを3冊ご紹介します。
こちらは私が過食症に苦しみメンタルがどん底に落ちているときに、読んで心が安らいだ本を選んでいます。
- 摂食障害に悩んでいて、辛い日々が続いている
- 食べる以外の娯楽や快楽が見つからない
- 過食に苦しむ日々に終わりが見えず、将来が不安
そんな人に、ぜひ手に取ってもらいたいラインナップです。
ミナトホテルの裏庭には
最初にご紹介する小説は、寺地はるなさんの『ミナトホテルの裏庭には』(ポプラ文庫)。
個人的にイチオシの作品です。
わけありのお客さんが泊まりにくる「ミナトホテル」との出会いを通じて、主人公が少しずつ変化していく物語。
シンプルなお話でありながら温かく、心が救われるような気持ちになります。
中でも、私の心をすっとラクにしてくれたセリフが。
「そういう場所が誰にでも必要だと俺も思う。家でも、職場でも学校でも、友だちのところでもない、逃げ場。前にも言ったけど、疲れたら休めばいいと思う。ほんとうは疲れる前に休むほうがいいけど、休むのがへたくそな人って多いから」
『ミナトホテルの裏庭には』p101
人間関係のストレスと、完璧主義な自分の性格に押しつぶされていた日々に、光を当ててくれるような一節でした。
この本を通じて私自身、「疲れたときは休むべきだ」「もっと安らかになっていいんだ」と思えるようになりました。
もう何度も読み返している個人的名作ですので、ぜひ手に取っていただければと思います…!
麦本三歩の好きなもの
『君の膵臓を食べたい』で有名な住野よるさんの『麦本三歩の好きなもの』(幻冬舎文庫)です。
主人公の三歩ちゃんが「好きなもの」をテーマに、日常の中のささやかな幸せが1話完結のエピソードで描かれています。
この本の好きなところは、ただ平凡で時々大変な「どこにでもある日常」が、優しくてユニークな視点で描かれていること。
日常を自由にのびのびと過ごす三歩ちゃんの姿に、過食で疲れた心もほっこりと癒されました。
三歩ちゃんが食べるの大好きなところもポイントです。
非常にライトに読める小説で、好きすぎるあまり年に3~4回は読み返しています(笑)
摂食障害に限らず「日々に疲れた」「心を癒されたい」という人におすすめの作品です。
食堂かたつむり
おすすめの小説3冊目は小川糸さんの『食堂かたつむり』です。
失恋のショックで声が出なくなってしまった主人公が、実家の村で食堂を開き人とのつながりを取り戻していく物語。
母親とのしがらみや生きづらさと向き合っていく姿が描かれています。
元気が出ない、どん底の精神状態から、料理を経て人間としてのあたたかさを感じていく主人公の姿に、自分と重なるものを感じました。
生きづらさを感じている人に、ぜひふれてみて欲しい作品です。
このほかにも小川糸さんは「食べ物」をテーマにした小説を数多く出版し、映画化されている作品もあります。
食事のあたたかさをシンプルな言葉で表現する文章に、きっとハマりますよ。
摂食障害に悩む人におすすめの漫画
最後は漫画部門でおすすめを2冊ご紹介します。
- 本を読むのが苦手、活字を読む気力が無い
- 手軽に摂食障害のことを知りたい
- 読むと元気になれる漫画を探している
そんな人にピッタリの作品です。
痩せてる女以外生きてる価値ないと思ってた
7冊目はざくざくろさんの『痩せてる女以外生きてる価値ないと思ってた』(ぶんか社)です。
書店で見つけ、インパクトのあるタイトルに共感して手に取りました。
摂食障害者の価値観を代弁するような強烈なタイトルですよね…
しかしこの漫画のメインテーマは摂食障害の克服ではなく、主人公ざくろさんの認知のゆがみや執着を手放すこと。
様々な人との出会いと経験を通して、自分が納得できる幸せを見つけるまでの過程が深みのある絵柄で描かれています。
ざくろさんの壮絶な人生に、1本の映画を観終えたような読後感でした。
摂食障害に限らず、人生に行き詰まりを感じている人にぜひチェックしていただきたい作品です。
3月のライオン
最後は『ハチミツとクローバー』でおなじみ羽海野チカさんの『3月のライオン』です。
こちらはアニメ化、実写映画化もされており非常に有名な作品ですよね。
高校生で将棋のプロ棋士になった主人公が、人との出会いを通じて成長していく物語で、ストーリーと摂食障害は無関係です。
ではなぜ今回ご紹介したかというと、作中に出てくるごはんが本当に美味しそうで、キャラクターたちも食事を心から楽しんでいるんです。
美味しいものを作る楽しさや、誰かと食べる温かさが、とっってもかわいい絵で表現されています。
食べることに罪悪感を抱いていた自分は、この漫画を読むことで「食べることが好きでも良いんだ」と思えるようになりました。
『3月のライオン』のみならず、羽海野チカ先生の作品はどれも料理がすっごく美味しそうなので、気になる人はぜひチェックしてみてくださいね。
まとめ
以上、摂食障害で悩む人におすすめしたい書籍8選をご紹介しました。
過食でボロボロになった心を、読書が何度も救ってくれました。
本は誰かの人生の学びや経験に触れられる、とっても貴重なツールだと感じています。
この記事が少しでも、何かのお役に立てれば幸いです。
コメント